事業継続力強化計画サポートセンター札幌 記事

「女性初の総裁誕生」に学ぶ、企業のBCPは“人を守る備え”へ 〜多様性・女性活躍を支える事業継続戦略〜

2025年10月07日 14:52

2025年、自民党の総裁選で高市早苗氏が女性として初めて総裁に就任しました。
長年、政治の世界で男性が多数を占めてきた中でのこの快挙は、多様性・女性活躍に対する社会的な視線を大きく変える出来事となっています。

この動きは、企業にとっても無関係ではありません。
特に「事業継続計画(BCP)」という分野においても、“人”を中心に据えた備え=人的資本対応型BCP の重要性が問われています。

本記事では、高市新総裁誕生を契機に見直したい、多様性・女性活躍を支えるBCPの考え方と実践策について解説します。


✅ なぜ今、“女性活躍・多様性BCP”なのか?

● 1. 日本の働く現場に残る課題

課題現場の声育児・介護のダブル負担「災害時は誰が子どもをみるのか?」出勤前提の勤務体系「災害時も来いと言われる。現場は男性中心」情報提供の不十分さ「避難所に女性向け備品がない」ハラスメントへの不安「混乱時こそ立場の弱い人にしわ寄せが来る」

これらは全て“平時の制度設計”では拾えない非常時のリスク。

● 2. BCPは“公平に安全を提供する計画”であるべき

従来のBCPは、あくまで機能や物理的被害への対応に主眼が置かれてきました。
しかし、「誰が、どこで、どんな立場で働いているか」に配慮しなければ、
災害時には“安全に避難できる人”と“そうでない人”の格差が生じてしまいます。


✅ 女性活躍・多様性を支えるBCPとは?

視点具体的な対策内容👶 育児・介護対応- 子育て・介護中の社員への在宅勤務優先
- 避難所や事務所にキッズスペース・家庭用品の備蓄🚺 女性への配慮- 避難時の女性専用スペースの確保
- 生理用品・衛生用品の備蓄
- 避難先でのハラスメント対応フロー🏠 柔軟な勤務体制- 災害時にフル出勤を前提としない制度化
- 安否確認の段階で「出社判断基準」を柔軟化🌐 情報アクセス格差解消- 家族・保育園・医療機関などと連携した情報連携ネットワーク
- LINEや多言語音声通知など多様な伝達手段の整備👥 多様性教育の実施- 防災訓練時にDE&I配慮を含める
- 「配慮が必要な人は声を上げにくい」ことを前提とした運営


✅ 実践事例:流通業J社(大阪市・社員比率:女性70%)

● 課題:

従業員の多くが女性で、うち約4割が子育て・介護中。
災害時は出勤できる社員が少なく、BCPの実効性が不安視されていた。

● 対応:

  • 育児・介護中の社員を災害時在宅勤務対象として明記

  • BCPマニュアルに「女性視点の避難・物資対応項目」を追加

  • 店舗バックヤードに女性向け非常用品キットを常備

  • 年1回の訓練で、「声を出せない人を想定した対応訓練」を導入

● 結果:

  • 社員の「会社が守ってくれる」という安心感が向上

  • BCP認定申請時に「多様性対応項目」で高評価を獲得

  • 離職率が前年比20%改善(主に育児中女性)


✅ 今からできる!「女性活躍BCP」の実践ステップ

  1. 育児・介護中の社員数・状況を把握(社内ヒアリング)

  2. BCPに「配慮対象者リスト」セクションを追加

  3. 非常時の柔軟勤務制度を明文化(就業規則に明記)

  4. 防災用品の女性視点チェック(衛生・安全・安心)

  5. 年1回「多様性視点のBCP訓練」を実施


✅ チェックリスト:御社のBCPは女性・多様な人材に対応していますか?

✅ 出勤困難な家庭事情を持つ社員への配慮制度があるか?
✅ 非常時でも柔軟な働き方が可能なルールが明記されているか?
✅ BCPの避難計画に女性・子どもへの視点があるか?
✅ 非常時対応訓練にDE&Iの視点が含まれているか?
✅ 社内で“誰が支援を必要とするか”を日頃から把握しているか?


✅ まとめ:多様な人材を守ることが、企業の力になる

高市新総裁の誕生は、日本社会が「多様性・女性のリーダーシップ」をより強く受け入れる時代に入ったことを象徴しています。
これからのBCPは、設備やマニュアルの整備だけでなく、“人に寄り添う設計”が求められます。

企業の本当の強さは、「全ての社員が安心して働き続けられる環境を守れるかどうか」にかかっています。
“人を守る”ことが、企業の未来を守るBCPです。


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