BCPと災害対策の違いは?誤解しやすいポイントを解説
2025年03月04日 16:07
BCPと災害対策の違いは?誤解しやすいポイントを解説
企業が自然災害や緊急事態に備えるための取り組みとして「BCP(事業継続計画)」と「災害対策」があります。しかし、これらの概念は混同されがちであり、実際には目的や範囲が異なります。本記事では、BCPと災害対策の違いを明確にし、誤解しやすいポイントを解説します。
1. BCP(事業継続計画)とは?
BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)とは、災害や事故などの緊急事態が発生した際に、企業が事業を継続または早期復旧するための計画を指します。
BCPの目的
企業の中核業務を維持する
事業停止のリスクを最小限に抑える
取引先や顧客への影響を最小限にする
経営資源の損失を防ぐ
BCPに含まれる主な内容
リスク分析(事業に影響を与えるリスクの特定)
重要業務の特定(優先的に復旧すべき業務の整理)
代替手段の確保(代替拠点やテレワークの活用)
データのバックアップ(クラウドストレージやオフサイトバックアップの活用)
緊急時の指揮命令系統の確立(社内の連絡体制、役割分担)
2. 災害対策とは?
災害対策とは、企業や組織が自然災害(地震、台風、洪水など)や火災などのリスクから従業員や設備を守るための取り組みです。
災害対策の目的
人命の安全を確保する
建物や設備の被害を最小限にする
企業の財産を守る
災害対策に含まれる主な内容
防災設備の導入(耐震補強、消火設備、非常用電源の設置)
避難計画の策定(避難ルートの設定、避難訓練の実施)
災害発生時の対応マニュアル(初動対応、安否確認手順)
非常用備蓄の確保(食料、水、医薬品、発電機の準備)
3. BCPと災害対策の違い
項目BCP(事業継続計画)災害対策目的事業を継続し、早期復旧すること人命や施設の安全を確保すること対象企業の業務全体社員、施設、物資の保護内容業務復旧の手順、代替手段の確保、データバックアップ避難訓練、防災設備、初動対応適用範囲企業の重要業務全般(災害以外にも適用)自然災害や火災などの対策実施時期災害や緊急事態の発生時災害発生前の予防と対応
このように、BCPは事業を止めないための計画であり、災害対策は災害から身を守るための取り組みです。
4. 誤解しやすいポイント
① BCPを作れば災害対策も万全?
→ 誤解:BCPは災害発生後の事業継続が主な目的であり、災害そのものの被害を防ぐものではない。
対策:BCPと並行して、耐震補強や非常用電源の導入などの災害対策も実施する必要がある。
② 災害対策をしていればBCPは不要?
→ 誤解:防災設備や避難計画があっても、事業継続のための手段を講じなければ、災害後の復旧が困難になる。
対策:避難計画と並行して、業務の復旧手順や代替拠点の確保も進める。
③ すべての業務をすぐに復旧できる?
→ 誤解:BCPはあくまで重要業務を優先的に復旧するための計画であり、すべての業務が即時に復旧できるわけではない。
対策:事業における優先順位を明確にし、限られたリソースでの対応を検討する。
5. まとめ
BCPと災害対策は、企業のリスク管理においてどちらも重要ですが、その目的や内容は異なります。
BCPは、事業継続や早期復旧を目的とした計画。
災害対策は、人命と財産の保護を目的とした予防措置。
両者を組み合わせることで、企業のリスク耐性が向上する。
企業のリスク管理を強化するために、BCPと災害対策の両方を適切に策定・実施していきましょう。
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