事業継続力強化計画サポートセンター札幌 記事

令和時代のBCPは“人”がカギ!人的資本に配慮した計画策定の新常識

2025年09月18日 13:12

近年、事業継続計画(BCP)は単なる「ハード対策(建物・設備)」にとどまらず、従業員の安全と心の健康を守るための仕組みが求められるようになっています。

特に、地震・水害・パンデミックなどの非常時には、社員が大きな不安やストレスにさらされることも少なくありません。
本記事では、「人的資本」「メンタルヘルス」に焦点を当てた、新しいBCPの考え方と具体的な構築方法を解説します。


✅ なぜ今、“人的資本・メンタルヘルスBCP”なのか?

● 1. BCPの中心に「人」がある時代へ

近年のBCPガイドラインやISO22301などの国際基準でも、人的資源(Human Resources)を中心に据えた設計が重視されています。
「設備が無事でも人が動けなければ、事業は継続できない」のです。

● 2. メンタル不調による業務停滞リスク

災害後には、次のような課題が発生しやすくなります:

  • 不眠やストレスによるパフォーマンス低下

  • 家族の被災や自宅損壊による離職・長期欠勤

  • 職場内での不安・不信感による心理的安全性の喪失

● 3. 「人的資本開示」の流れとの連動

2023年度以降、人的資本の情報開示が義務化されつつあり、企業には「従業員の心身の健康とエンゲージメント」への配慮が一層求められています。
BCPにこの視点を取り入れることは、投資家・取引先からの信頼性向上にもつながります。


✅ 人的資本・メンタルヘルスBCPの構成要素(5つの柱)

項目内容① 安全確保体制物理的な避難・安否確認・安全誘導体制② 心理的サポート社内・外部のメンタルケア体制、相談窓口③ 人事ルール整備災害時の出勤ルール、柔軟な勤務制度(在宅、休暇)④ 情報共有体制正確・迅速・透明な社内広報の体制づくり⑤ 訓練と教育心理的安全性を高める研修、避難訓練への人間性配慮


✅ 具体的な対策例:すぐに取り入れられる施策一覧

分類具体的な施策例💬 メンタルケア- 災害後の社内簡易カウンセリング
- 専門家と連携したEAP(従業員支援プログラム)導入🧑‍🤝‍🧑 チーム支援- 管理職向け「共感コミュニケーション研修
- 災害時における声かけマニュアル作成🧭 情報の透明性- 不安を減らす即時・正確な情報提供フロー(SNS/社内チャットなど)
- 「会社は安全か」「今どうなっているか」がすぐ分かる体制🏠 ワークスタイル- 在宅勤務ルール・安否確認アプリの導入
- 通勤不能時の勤務免除・有給扱いルール👩‍💼 人事制度- 危機対応時の柔軟な労務管理ルール
- 被災社員への個別対応(時差出勤・勤務配慮)


✅ ケーススタディ:導入企業の事例

▶ IT企業B社(札幌市・社員数30名)

  • 胆振地震を機にBCPを見直し、社員の不安解消を重視した「心理的安全性BCP」を策定

  • 全社員に「災害時の心構えハンドブック」を配布

  • 月1回のメンタルセルフチェックを導入し、災害時にも継続

  • 管理職が心理的ファーストエイド研修(PFA)を受講し、声かけができる体制に

✅ 結果:災害発生時でも冷静に対応でき、「離職ゼロ・混乱ゼロ」を実現


✅ 今後の視点:「BCPは社員との信頼を可視化するもの」

従業員にとって、会社が「自分を守ってくれるかどうか」は極めて重要な安心材料です。
BCPに「心の安全」「柔軟な働き方」「人への配慮」を取り入れることで、以下の効果も期待できます。

  • 従業員エンゲージメント向上

  • 離職率の低下

  • 人的資本開示・ESG評価への好影響


✅ まとめ:人的資本を活かすBCPで、真に強い企業へ

  • BCPはもはや設備だけでは不十分。「人」が主役の時代へ

  • メンタルヘルスや柔軟な働き方まで含めたBCP構築が必要

  • ESG・人的資本経営との連動により、信頼される企業へ


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