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サイバー攻撃・システム障害から事業を守る「情報資産BCP」とは?

2025年10月02日 15:02

多くの企業がBCP(事業継続計画)を「地震や台風などの自然災害」対策と捉えています。
しかし、近年はサイバー攻撃・システム障害・内部不正・クラウド障害など、“デジタル災害”のリスクが急増しています。

実際に起きているのは:

  • ランサムウェアにより全社のPCがロックされ、復旧に1か月

  • クラウドサービスの障害で、重要データにアクセス不能

  • 退職社員による情報持ち出し・漏洩

  • 顧客情報流出による信用失墜・取引停止

今や、「データを守ることが、事業を守ること」に直結しています。
本記事では、そうしたデジタルリスクに対応する「データBCP(情報資産BCP)」の考え方と構築手順をご紹介します。


✅ データBCPとは?

事業継続計画の中で、情報資産(データ・システム・通信環境など)を守り、早期復旧するための対策を整備すること。

守るべき“資産”は目に見える建物や機械だけではありません。
顧客データ、設計図、財務情報、クラウド上の業務記録、チャット履歴、AIモデルなど――
“情報”こそが現代の企業にとって最大の資産であり、リスク源でもあります。


✅ デジタルリスクはこれだけある

リスク分類例🛡 サイバー攻撃ランサムウェア・フィッシング・DDoS攻撃・標的型攻撃など💥 システム障害クラウドサーバー障害、オンプレミス機器の故障、電源トラブル🔓 情報漏洩・持ち出しUSB、メール誤送信、退職者によるデータ持ち出し👤 人的ミス誤削除、上書き、誤設定によるデータ消失🌐 通信障害ネットワーク遮断、DNS障害、ルーター不具合


✅ データBCPで整備すべき5つの対策領域

領域内容具体策例① データのバックアップ- 定期自動バックアップ
- 複数拠点・クラウド・オフラインでの冗長化NAS / クラウド / 外付けHDDの3段構え② 早期復旧(DR:Disaster Recovery)- システムダウン時の復旧計画
- 復旧目標時間(RTO)と目標復旧点(RPO)を設定DRサーバー / クラウドミラーリング③ アクセス制御・認証強化- 不正アクセス防止
- 多要素認証 / 権限管理MFA、IP制限、SSOの導入など④ サイバー攻撃対策- ウイルス対策・侵入検知
- 社員教育・訓練EDR、SOC連携、セキュリティ研修⑤ 事業継続手順の整備- データ消失・漏洩時の対応マニュアル
- 通知・復旧・報告のフロー構築BCPマニュアルへの情報BCPセクション追加


✅ 実践事例:製造業I社(北海道・従業員80名)

● 背景

2023年にクラウド会計ソフトが一時停止。請求・支払業務が完全にストップし、資金繰りに深刻な影響が。

● 導入した対策

  • 財務・設計・社員データをクラウド+ローカルNASで二重バックアップ

  • サーバー障害を想定したBCP演習(模擬切替)を年1回実施

  • 社員に「データ持ち出し禁止ポリシー」を明文化し周知徹底

  • サイバー保険にも加入し、損害補償と再発防止費用をカバー

● 成果

  • システムトラブル発生時も3時間以内で業務復旧

  • 顧客への説明対応もスムーズになり、信頼向上

  • BCP認定申請時に情報資産の保護体制が加点評価


✅ データBCP構築ステップ

  1. 情報資産の洗い出しと分類(重要度評価)

  2. バックアップルールの整備(周期・媒体・保管場所)

  3. システムダウン時の対応手順を作成(DR計画)

  4. セキュリティ対策ツールの導入と社員教育の実施

  5. BCP文書に情報資産保護セクションを追加

  6. 年1回の「情報BCP訓練」実施と見直し


✅ データBCP導入のメリット

メリット内容🛠 業務停止リスクの軽減システム障害・攻撃時も早期に復旧可能🔐 信頼性・安全性の向上顧客・取引先からの信用維持・獲得に直結📈 BCP・ESG評価での加点情報セキュリティ対応企業として高評価💼 補助金や認定支援中小企業庁の「サイバーセキュリティ対策促進助成金」等の対象に


✅ チェックリスト:御社の情報BCPは大丈夫ですか?

✅ バックアップは自動で複数箇所に保存されているか?
✅ サイバー攻撃を受けた場合の対応手順があるか?
✅ サーバーが停止したときの業務切替フローが決まっているか?
✅ 社員が情報持ち出し・誤送信をしない仕組みがあるか?
✅ クラウド障害時の代替手段が想定されているか?


✅ まとめ:BCPは「データ」が中心になる時代へ

情報資産を守ることは、もはやIT部門だけの仕事ではなく、経営全体のリスク管理に直結しています。
BCPの中に「データの保護と継続」の視点を加えることで、
災害にもサイバー攻撃にも強い、
“止まらない企業”を実現しましょう。


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